墨やインクを使って体に模様を彫る事をタトゥー、刺青、入れ墨なんて言い方や表現をしますが、これら3種類の違いはあるのでしょうか?
また、詳しい専門的な違いよりも私たちが日常的に使う上ではどのように使い分けるのが一般的なのでしょうか?
今回はこの3種の名称の違いについてご紹介します。
タトゥー、刺青、入れ墨
冒頭にしてすでに結論的な話になってしまうのですが、"体に傷を付けて模様を入れる"という点で考えるとどれも意味は同じです。
ただそれは表面上だけの話ですよね。
しっかりとした定義付けはされてませんが実際には使い分けられているのが現実です。
では一般的にはどの様に使い分けられているのか見ていきましょう。
タトゥー
なんとなくご察しの通り、タトゥーは刺青の英語表現で、転じて西洋などの海外の文化をモチーフとした彫りものをタトゥーと呼ぶことが多いです。
西洋デザインとは、キリスト教徒にまつわるデザインや、ギリシャ神話にまつわるデザインなど様々で、近年は若年層を中心に人気のジャンルです。
▼キリスト教徒にまつわるデザイン
▼ギリシャ神話にまつわるデザイン
刺青(いれずみ)
タトゥーが西洋などの海外文化であるのに対し、刺青は日本文化のデザインを指す事が多いです。
特に、額(がく)とよばれる地肌と刺青の見切り模様は日本独自の文化で、額の有無が刺青とタトゥーの違いといっても過言ではないでしょう。
▼額(がく)と呼ばれる見切り模様
▼海外には存在しない日本の神様
タトゥーと刺青の違いまとめ
上記の内容をまとめると、タトゥーと刺青の違いは主にデザインであるということになります。
もっと簡単な図に表しました。
上図の様に、タトゥーという総称の中でも日本文化であったり額のあるデザインを刺青と呼ぶという認識で間違いないでしょう。
ただし、ここでも※注意としているように入れ墨だけは全く違った意味合いになります。
入れ墨(いれずみ)
入れ墨だけは全く違う意味を成します。
発音自体は刺青と変わりませんが、「入れ墨」という字を使うことで意味が全く違ってきます。
時は遡り1720年に刑罰の付加刑として額や腕などに墨を入れる「黥刑(げいけい)」が導入されたことから、入れ墨は犯罪歴を表すイメージとなりました。
なので、私たちが日常会話で使っているイレズミというワードは文字にすると「刺青」であり、決して「入れ墨」ではありません。
現在はこの「黥刑(げいけい)」が存在しないため「入れ墨」というワードは死語であるといえるでしょう。
よくある間違った認識
「手彫り=刺青」「機械彫り=タトゥー」という方もいますがこれは少し間違った認識のように思います。
現在は和デザインを専門とする彫り師さんも機械を使いますので、「手彫り」のことを刺青、「機械彫り」のことをタトゥーというのは少し雑な判断でしょう。
手彫りで使う鑿(ノミ)という器具が日本独自のものなのでそういった勘違いをされる方が多いのでしょうか。
確かに、ノミを使うことこそ日本文化だとすればそれは刺青になるような気もしますが、海外でも手彫りは存在するので一概に「手彫り=刺青」とはならないでしょう。
「入れ墨」はともかく、タトゥーと刺青に関しては明確な線引きが難しいですね。